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日本酒発祥の地 島根県酒造組合

7月1日は日本酒の元旦 酒造年度(BY)

 日本酒づくりは、7月1日から翌年6月30日までの一年間を〝酒造年度〟という呼び名で期間区分をしています。英名ではBrewery Year(ブリュワリー イヤー)。略称で〝BY〟と呼びます。
 この制度は製造者が国税庁に生産数量を見込み申告する都合で定められたもので、日本酒生産の計画や醸造の年度区切りとして使われています。
 近年では、日本酒の「ヴィンテージ」「熟成」に拘る酒造りも増え、この〝酒造年度(BY)〟に新たな価値観が生まれ出しています。
 ※日本酒以外でも、焼酎・果実酒にもこの区分が使用されています。

7月1日は日本酒の元旦 酒造年度(BY)

24BY
平成24年7月1日から平成25年6月30日の間に造られた清酒を表わす

7月1日は日本酒の元旦 酒造年度(BY)

28BY
平成28年7月1日から平成29年6月30日の間に造られた清酒を表わす

酒類製造免許(酒造免許)

 この免許は、酒税を円滑に納付させる目的で酒の製造を認める酒税法による免許です。酒類の一年当りの最低製造見込数量(法定製造数量)が定められ、免許取得後一年間にこの数量に達しない場合は免許を受けることができません。また、製造数量に三年間満たない場合は取り消しとなります。

清酒の一年当りの法定製造数量は60㎘
(一升瓶に換算すると約3万3千本)

酒類製造免許(酒造免許)

 免許は種類・品目別に認められ、異なる酒類製造の時は、新たな免許が必要となります。
 宗教行事などの濁酒や地域振興などの目的で製造する場合には、適用外になることもあります。佐香神社の濁酒や雲南市日登の郷の〝どぶろく特区〟がその例です。

鉄分は最大の敵 酒造りの水

 酒造場で使われる水には洗米・浸漬水、仕込水、割り水の他にタンクや瓶の洗浄に使われる水があります。仕込むお米の約10倍の水が必要です。どちらも不純物を含まず清潔でさらに鉄分などの有害成分の少ない事が大切です。

ミネラルを含んだ水が酒を美味しくする

 仕込み水に適度なミネラル成分が含まれていないと、決して美味しい酒はできません。リン酸、マグネシウム、カリウムなどのミネラル成分を含んでいることが大切です。これらは、麹菌や酵母の育成にも大きな役割を果たしています。一般的に「硬水」はミネラル成分が多く〝芳醇な味〟に、「軟水」はミネラル成分が少なく〝淡麗な味〟に出来あがると言われています。
 鉄分の含まれた水は、着色や酒質を劣化させるなど好ましくありません。

酒造りには欠かせない、酒造好適米

 「酒造好適米」はズバリ!一般米(飯米)とは異なり、酒造りに適したお米のことです。
●大きめの粒でたんぱく質が少なく、軟質で心白(米の中心部の白色不透明な部分)がある。
●浸漬で吸水性が良く、蒸米にするとふっくら弾力(外硬内軟)がある。
 「外硬内軟」の蒸米は麹を造りやすく、酒母・醪(もろみ)によく溶ける性質があり、仕上がった酒の味に幅が出来、香りも高く軽快な酒質になるのです。
 酒造に適した米が使われ出したのは江戸時代、灘の酒造りに播州産の米が多く使用されていました。「酒造好適米」が広く普及しだしたのは明治の終わり頃からといわれています。
 現在使用されている〝山田錦〟や〝五百万石〟など有名な酒造好適米のほとんどが岡山の「雄町」の遺伝子を受け継いだものです。

山田錦(やまだにしき)

 主な産地は兵庫県で全国の生産量の7割以上を占めています。酒米の代表銘柄で、粒が大きくたんぱく質・アミノ酸が少なく心白が大きい。お酒は香味があり、大吟醸酒や鑑評会出品酒の原料に多く使用される。

雄町(おまち)

 酒米のルーツといわれ、岡山が主産地です。栽培が難しく希少性の高い酒米ですが、酒米として特に優れ、近年は少しずつ生産量も増加しています。

酒造好適米
一般米

島根の酒米

 島根県で栽培されている酒造好適米は、島根県で開発された「改良雄町」、「改良八反流」、「神の舞」、「佐香錦」と新潟県で開発された「五百万石」の五種類が主な酒米です。米の種類によりお酒の味は異なり、軟質米は濃醇な酒に、硬質米は淡麗なお酒になります。

改良雄町(かいりょうおまち)

 雄町の改良品種として、比婆雄町と近畿33号を交配して作られた。栽培が難しい酒米だが雄町譲りの優れた酒米。

改良八反流(かいりょうはったんながれ)

 八反流2号と農林44号を交配して作られたが改良雄町同様に栽培に難があり、生産量も少なく幻の酒米と呼ばれる。

神の舞(かんのまい)

 五百万石と美山錦を交配して、五百万石の弱点である耐冷性と収量性を改良。中山間地域に適した酒米。

佐香錦(さかにしき)

 改良八反流と金紋錦を交配して山田錦に代わる吟醸用の酒米として改良された。

五百万石(ごひゃくまんごく)

 菊水と新200号を交配して作られ、島根県内の酒米では作付面積が最も大きい。粒が小ぶりだが淡麗でスッキリした味わいの酒に仕上がる。

米を磨く=米を削る 精米歩合

 精米歩合とは、精米後の白米の元の玄米に対する重量の割合で、米がどれだけ削られたかを表わす数値です。
 鉄分の含まれた水は、着色や酒質を劣化させるなど好ましくありません。精米の目的は、米の表面の果皮、種皮など脂質、たんぱく質、灰分などの部分を取り除き米の芯の部分(心白)を原料として使うために行う工程です。この部分が多いと酒に雑味を感じ、酒本来の香りが消えてしまうからです。
 「精米歩合65%」と瓶のラベルに表示されていたら、玄米の表面の35%(精白度35%)を削り取った白米であるということです。日本酒造りに〝心白〟を使うための米の表面を削る(磨く)工程は欠かせません。

酒米の精米歩合

日本酒の種類

 日本酒は、原材料と製造工程により多くの種類があります。また搾りからの瓶詰めの工程間でも酒の処理により、様々な味わいの製品が造られています。
 そこで消費者の商品選びの基準となるように表示のルールが「清酒の製法品質表示基準」として定められています。

特定名称酒

 使用原料、精米歩合、製造法に基づいて「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」を基本に「大」と「特別」を組み合わせた8種類に分類。

日本酒の種類 特定名称酒

※「純米」の名称が入る酒には醸造アルコールの使用は認められない。

※純米酒、本醸造酒のうち、精米歩合が60%以下、もしくは特別な製造方法で香味等が特に優れた酒の場合は「特別」を付けることができる。

※普通酒には、特定名称はつかない。(精米歩合70%以上。醸造アルコール又は、醸造用糖類等を含んでいる酒。)

その他の名称

原酒

酒を搾った後、水を一切加えていない酒。アルコール分が高く、濃厚な味わい。

生酒

加熱処理(火入れ)を一切していない酒。低温保存が必要。フレッシュな味わい。

生貯蔵酒

瓶詰め時に一回だけ加熱処理をした酒。生酒の風味を楽しめる。

生一本

ひとつの製造場のみで醸造された純米酒である。

冷やおろし

冬に仕込み、秋口に生詰めで出荷される酒。

※生詰め酒は、貯蔵前に一回加熱処理された酒。

貴醸酒

古代の仕込み法に習い、仕込み水の代わりに酒を使って醸造した酒。

古酒

前の年度か、さらに以前にできた酒。濃厚でなめらかな味。さらに長期熟成させた酒には、長期熟成酒、大古酒などの名称が付けられることもある。

手造り

生酛・山廃酛等を使うなど伝統的な製法で造られた純米酒、本醸造酒。